晴耕雨読のリタイアしてみました

2017年、53歳の時に完全リタイア生活をスタートしました。

三割増し

SONGSという番組で小沢健二さんが語っていた話を文字に起こしてみた。
お題は「三割増し」。

今時、人はネットに自分の暮らしをアップする。
ソーシャル・メディアにはすてきな食べ物の写真が並ぶ。
が、もちろん、アップした人の生活は、本当は写真ほどすてきではない。
友人は言う。
「今は大変ですよ。自分を三割増しに見せるために、高校生の男子でも、背景や小道具を選んで自撮りしなきゃならないんですから」と。
友人は続ける。
「みんな「どこかに行ったから写真を撮った」というフリをしていますが、本当はそもそも、写真を撮るために、そこに行っているんですよ」。彼女はいたずらっぽく笑う。
人が自分をよく見せようとするのは、自然。
歴史の授業では
日本書紀には、当時の政府が自分をよく見せるために作った神話が混じっている」と教わる。
国も、人も自分をよく見せようとする。
婚活サイトに並ぶ、見栄えのいい写真やプロフィールは、アップした人自身が作った、神話なのだろう。
しかし、現実は厳しい。
婚活サイトで出会った人とカフェで待ち合わせして、一目見た瞬間、お互いの神話は崩れる。
そうか!メガネをかけて、斜め上から撮れば、あのプロフィール写真になるのか!確かに(悔)!
と、過去の写真の仕組みが一瞬でわかる。
現在というものには、一瞬で過去のすべてを見せる力がある。
さて、僕がSONGSで過去を語ることを頼まれて、「じゃあ」と切々と過去を語ったら、
僕も婚活サイトの写真のように、自分をよく見せてしまうかもしれない。
自分についての神話を、作ってしまうかもしれない。斜め上から写真を撮るように。
しかも、実は、本人が語る本人の過去なんて人は内心、話半分に聞く。
だったら、現在の自分の眼に見えるものを、報告したほうがいい。
その報告が、過去の自分を説明する、とも思っています。
神話はとても面白いものだけど。


我々はきっと神話を求めて毎日ネットを徘徊しているんだろう。
やっかみと話半分の気持ちで。